たまゆら湯 〜 湯気三昧の銭湯散歩 〜

「 銭湯 」が大好き。散歩も大好き。そんなワタクシの心と体が蕩けるままの銭湯散歩。

銭湯散歩 vol.489 殿上湯 / 北区駒込 | お疲れさまでした。沢山の思い出をありが湯ございます♨最後の朝湯に蕩けた20221009

2022年10月10日、自分が大好きな銭湯の一軒、北区駒込の殿上湯さんが閉店された。

殿上湯さんについては思い出がありすぎて、何から書けばいいのか分からなくなるが、まずは自分にとって最後にお湯をいただいた10月9日のことから始めたい。

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閉店当日は予定が詰まってしまったので時間を取れなかったが、かろうじて前日、日曜日の朝に体が空いた。午後から用事があったが間に合えばいいだけのことだ、最後の朝湯に行かないわけにはいかない。

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前日の天気予報は曇りとか雨とかで、あまり芳しくなかったが青空も見え、暖簾に電線の影ができるくらいに陽が差した。

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乗ってきた自転車を脇に止め、下足箱に靴を預けて受付を済ませる。

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ペンキ絵を眺めたり、日の射し込む窓を眺めたり。いつもと変わらずお湯に浸かり、水風呂に浸かりして蕩けているうち、自然に涙がこぼれそうになった。頭に乗せていた手ぬぐいを少しずらして顔に乗せ、瞼は閉じて天井を仰いで蕩けた🤤

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フロントに座っていた女将さんにお礼を告げながら、今Tシャツが置いてある場所にウォーターサーバーが置いてあったりもしましたね。なんて思い出話をしたりしているうちに二人して涙ぐんだ。

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お店の脇にある休憩スペースで一休みし、そろそろ行こうかと立ち上がった時、ご主人が中庭の掃除に出てこられた。

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曇り/雨の予報だった予報をいい意味で裏切り、顔を出した太陽の放つ陽射しを浴びながら「最後の朝湯、お天気になって良かったですね」

「昨日予報を見ていた時はしょうがないと思って諦めていたけど、雨が降らないだけじゃなく太陽まで出てくれて、本当にありがたい限りですよ」言葉を交わす

「殿上湯さんの男湯でいただく朝湯、陽の射し込み具合が最高で大好きでした」

この言葉通り、本当に最高だった。

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少し会話を交わした後「ありがとうございました。ゆっくりしていってくださいね」

ご主人がそう言いながら、仕事に戻るためドアの向こうに消えたのを見送って、またちょっと泣いてしまった。

空を覆うはずだった雨雲は自分の瞼に降りてきていたのかもしれない。

至福の時間をご馳走様でした🙏

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 そんな大好きな殿上湯さんに最初に訪れるきっかけになったのは北区銭湯スタンプラリーだったか、銭湯お遍路の一環だったか。通常営業時に所在地以外の前情報なく、ただ「初めていく銭湯さん」として足を運んだ。その時はお湯よりも、屋号が力強く書かれた暖簾と、天井をぐるりと囲んだ蟇股の装飾がとても素敵だった。そんな印象を持った記憶がある。

 最寄り駅じゃないし、乗り換え必須だし、自転車で行くには坂が必須だ。それなのに何度も訪れようと思って、実際に何度も訪れていたのだから何か感覚的なものがあったのかもしれない。

 訪れるうちにいつしか、佇まいも内装も、やさしい温度の超浅湯と浅湯、備長炭が沈んだちょっと熱めの深湯に地下130mから汲み上げた水を使った水風呂の肌当たりも、湯温のバランスも自分好みなのだと気がつき、体の空いた部分に殿上湯の水が沁みこむように感じるようになっていた。

 お風呂以外にイベント営業時にも通常営業時にもいろいろあった。

珈琲牛乳フェスで美味しいレモネードを飲んだり、

口笛世界チャンピオンの演奏を聴いたり、

スーパー銭湯さしすせそさんの写真展を観賞したり、

「泊まれる銭湯」刊行記念トークイベントを観覧したり、

新設されたばかりのバースペースで飲んだクリームソーダを飲んだり、

コロナ禍でみのり荘が日帰り利用できるようになった時は、一日過ごしたりもした。

首が座ったばかりの赤ちゃんが気持ちよさそうに初銭湯で朝湯に浸かる場面に御相伴したこともあった。

何人ものお湯仲間とお互い殿上湯さんが好きだと盛り上がったりもした。

SNSのフォロワーさんとばったり初対面したりもした。

ばったりと言えば、

他の銭湯で、お客さんとして来ていた殿上湯の若旦那ご夫婦に会ったりもしたし、

住み込みのスタッフさんと会ったりもした。

廃業した銭湯さんが取り壊し前に催した内覧会で、女将さんと話していたら「殿上湯さんがやった方がいい。って勧めてくれたの。たくさんの人が来てくれて本当にやって良かった」と、ご本人たちがいないところで名前を聞いたりもした。

 殿上湯さんを中心にして、ご主人に女将さん、若旦那ご夫婦を始め、イベントの出展者さんに、居合わせたお客さん。たくさんの素敵な出会いがあった。

 最終日、自分は行くことができなかったが下足箱が足りなくなり、土間にも靴が溢れるくらいたくさんのお客さんが訪れたらしい。

みんな大好きだった、たくさんの人に愛された殿上湯さん。

もちろん自分もそうだ。

 

長きにわたる営業、お疲れ様でした。

たくさんの出会いと思い出をありがとうございます。そして極上のお湯と至福の時間をご馳走様でした🙏

 

5月の山の湯さん廃業に続いて今回の殿上湯さん。

「思い出」の場所がまた一軒増えてしまった。

最後までお読みいただきありが湯ございました🙇‍♂️

※残っているうちにぜひご覧いただきたい、殿上湯さんの公式サイトはこちら。

denjyoyu.tokyo

※殿上湯さんの朝湯と珈琲牛乳フェスに蕩けたあの日のブログはこちら。

tamayura-yu.hatenablog.com

※殿上湯さんの脱衣場で開催された「泊まれる銭湯」ミニトークショーに蕩けたあの日のブログはこちら。

tamayura-yu.hatenablog.com

※殿上湯さんのバースペースでイチゴクリームソーダに蕩けたあの日のブログはこちら。

tamayura-yu.hatenablog.com

※届けた落とし物の持ち主が、初対面するフォロワーさんのお仲間だったあの日のブログはこちら。

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